学校のクラス単位で「学級新聞」が作られることになりました。
少し高学年になった頃のことです。
大きな紙にみんなでマジックで記事を書いて、それぞれのクラスの外の壁に貼り、みんなに見てもらうという企画でした。
完成すると、休み時間に他のクラスの新聞を見に行ったりしました。
「新聞」というと、普段から横目で見ていたりテレビ欄を見ているあの新聞のことです。
その新聞に似せるようにして作るのですが、学級新聞にはどんなことを書くのか、どんなニュースを書いたらよいのか、話し合って決めました。
他のクラスでは教師が先導してクラスのニュースや飼っているウサギの話などを書いて体裁を整えていたり、あるクラスではただの寄せ書きのようになってしまっていたり、それぞれが違っていました。
テレビ欄を作ったり、給食のメニューを載せたりした記事もありました。
新聞のロゴを作ったり、記事は鉛筆で下書きしてからその上からマジックでなぞったり、挿絵を描いてみたり、「新聞の体裁を真似する」というところが主なものだったかも知れません。
書く文体はたいてい敬語で、です・ます調でした。
普通の新聞はそういう文体ではありませんから、模倣するならおかしなことでした。
でもどのクラスの新聞もそんな文体で、みんな「学校側に見せる」という意識があったのだと思います。
学校からのお仕着せの企画でしたので熱心な子供はあまりいませんでした。
図書館には「小学生新聞」というホンモノの子供向きの新聞というものがありましたから、それもシラけさせてしまう原因だったかも知れません。
視聴覚教室にしてもそうでしたが、学校側の企画というのは空回りすることが多いものでした。
だから、誰と誰が好き合っているとか、誰の成績がどうだとか、バレンタインデーの成果がどうだったとか、そんな記事が出るはずもなかったのです。
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