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肉屋の友達

クラスメイトに家が肉屋をやっている友達がいました。

 お定まりのようになぜか太っていて、ちょっとイジメたりもしていました。
 泣きもしないので休み時間なんかよく体当たりなんかしていた。


 ある日のこと、彼の家を見に行くという話になって何人かで帰り道に寄り道をしました。


 ごく普通の小さな肉屋さんでした。



 二間ぐらいの間口に冷蔵庫のショーケースがあって、肉が並べてあり、片側にはコロッケとかトンカツみたいなものを揚げて並べてあります。

 ごく普通の肉屋さんでした。

 少し高い位置で商品とお金を受け渡します。
 肉屋さんはお遣いには困るお店です。

 肉屋さんは子供だと受け渡しに困難するような高さがカウンターになっているのが普通です。

 そしてカウンターの向こう側で人が揚げ物をしたりしています。

 カウンターには秤があって肉を計ります。
 ソース、揚げ物用の粉、ラードなんかが販売用にズラリと並べてありました。




 よく街で見かける肉屋そのものだったので何だか感心しました。
 そんなリアルな肉屋さんが自分の家だなんて。


 家の人、父親だろう人が私たちを見つけてにこやかに声をかけてきました。

 「友達連れてきたのかい、珍しいねえ」なんて。

 肉屋のデブの友人はちょっと誇らしげにしているように見えました。


 父親はニコニコとして「これ食べな」と言って、コロッケを私たちにくれた。
 日ごろはイジメているものだから、私たちはなんだかバツの悪い気がしました。



 家が客商売をやっている家に行ったのはこれが最初で最後でした。


 普通は商売をやっている人はあまり近所とは付き合いません。
 隣との近所付き合いと言ってもそこはお客なのです。

 だから親たちは商店会なんかで付き合いをしています。

 
 家が商売をしている子供もあまり友人を家には呼びません。

 人を相手に商売をしていることが恥ずかしいと思う気持ちもあったようです。


「毎度あり」なんて、今だったら素敵に聞こえるのですが。

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ガチャガチャ


 子供が寄り道をする先、そのトップは駄菓子屋さんでした。

 そこにはたいてい「ガチャガチャ」というものがありました。

 昔は10円ぐらいでした。

 暫くすると三枚重ねて30円、そのうち50円ぐらいに。

 100円ぐらいには値上がりしました。それから先のことは駄菓子屋から足が遠のき、よくは知りません。



 これは今でもショッピングモールなんかにあったりします。

 300円とか500円しますから驚きます。

 でもアレは昔とはまるで違うものに思えます。


 ネットでも似たような位置づけだとしてあるようで、「ネットガチャ」なんて呼ばれています。


 でもその本質はクジだ。

 ちょっと違う気がします。



 私らが子供の頃、ガチャガチャというのは決して「クジ」ではありませんでした。

 
 ガチャガチャの機械というのは中身が見えました。

 金を入れて回すとタンブラーに引っかかったカプセルが落ちてきます。

 カプセルも透明で、中に何が入っているかがなんとなくわかりました。

 だから今タンブラーに引っかかっているものが見えましたから、次にカネを入れればどんなものが出てくるかがだいたい分かりました。


 その上、そのガチャガチャの機械は子供が持ち上げることだってできた。


 だから欲しいものがあるとわかると、駄菓子屋の婆さんの目を盗んで、そのガチャガチャの機械をみんなで持ち上げて逆さにする。

 揺らしてシャッフルして、欲しいものがタンブラーに引っかかるようにする。

 そうして一番欲しいものがきたら金を入れて回して取るのです。



 時々は見込み違いだったり、実は見えていたと信じていたのが間違っていたとか、そういう悔しい間違いもありました。

 誰かがそんな風にしくじると大笑いになったりした。


 それにあんまり乱暴にガチャガチャやっていると駄菓子屋で店番をしている婆さんに注意されてしまいます。

 だからコッソりとやった。


 欲しいものを何とかしてもらう。そういうのが面白かったのです。

 だから決して金を注ぎ込めばいいというものでもありませんでした。


 欲しいものは工夫して、最低限の金だけをかけて手に入れようとしたのです。

 小さなカプセルにはスパイセットだの極小のヨーヨーだの、手品のタネ、スーパーカーの消しゴムだの色んなものが入っていました。

 それがどれだけくだらないものでも、取るという労力があったから楽しめたのだと思います。
 

 
 少なくとも、今のように何でもカネ、金さえ出せばいいというものではなかった。


 楽しい気持ちというのは、頑張ったから味わえたものです。


 友達に協力してもらったり、寄り道した駄菓子屋で見つけて苦労して取ったりすることで、コレクションの嬉しさもひとしおだったものです。


 そのうち中身が見えないようになったり、持ち上げられないようにコンクリに接着されたり、ガチャガチャも姿を変えていきました。

 「なんだそんなのつまらない」そうやって遠ざかっていった世代もいました。

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