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ゴム跳び


 休み時間になると、子供たちが一斉に校庭に飛び出してゆきます。

 わずか20分、15分の短い時間でも、外に元気に飛び出してゆきます。



 そしてその休み時間をまるで惜しむかのように、たっぷり味わうようにしてそれぞれ急いでボールを蹴ったり、走り回ったり。

 そんな短い時間で何ができるというのもありませんから、息抜きにもならなかったはずなのに、なぜか私たちは時間割りごと、休み時間には教室から必ず外へ飛び出して行きました。


 ドッチボールに駆けっこ、女子を追い掛け回してみたり誰かにちょっかいを出してみたり。
 奇声を上げて校庭に大きな声をひびかせたり、学校の施設にいたずらしてみたり、何か虫なんかを見つけてきたり、わずかの休み時間を精一杯味わいました。

 昔の子供たちは今とは違う意味で忙しかったと言えます。



 給食の時間が済むと、いよいよお昼休みになります。
 お昼休みは他の休み時間よりも長いものでした。





 だからゆっくり遊べます。


 女の子たちは、たいていゴムの紐を持ち出して、ゴム跳びというのをやり始めたものでした。


 リンボーダンスのように足を器用に動かして、ピョンピョンと張られたゴムの紐を飛んでいました。

 両側にそのゴム紐をピンと張る女子がいて。交代交代にそのゴム紐が足に引っかからないように飛び跳ねます。

 ある時はゴムを踏んで押さえつけ、次にはそのゴムを足の間に通して。



 女子は動きやすいようにスカートをパンツの中に押し込んで、紐を跳びやすいようにしています。
 そして器用に足を交互に動かして、まるで、足でやる綾取りのように見えました。


 私にはあのルールというか、やり方がどうしても分かりませんでした。



 女子の、まるで手品のような遊び。



 男子はみんなあの遊びがよく分からなかったと思います。





 男子があれに参加していたというのもありません。


 男子があのゴム跳びについて話すこともなかったぐらいです。




 アレについては、ちょっと男子は阻害された感じになっていたものです。

 男子のやることはみんな分かりやすいこと。
 男子はバカらしいことばかり。

 これに対し、女子はちょっと複雑なことをしていたのですから。



 そんな男子は、ボール遊びなんかしていても、横目で女子のゴム跳びを見て気になります。

 男子のそんな目をよそに、ゴム跳びをしている女子たちはちょっとだけ得意顔だった覚えがあります。



 ドッチボールや野球みたいなことをしている横の方で、女子はゴム跳びに熱中していました。

 ボールがそっちに行って邪魔になったりすると、言われます。


 「いやーーーねぇ(怒」なんて。

 

 昼休みの終わりを告げるベルが鳴り、みんな教室に戻ってゆきます。

 なぜかそのゴムは投げ出されるようにして校庭に放り投げられたりしていました。


 不思議な女子だけの遊びでした。

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