目が悪いと、眼鏡を作ってくる子供がいた。
小学校低学年は人生で最初に眼鏡をかけ始める時期だ。
どこかで検査したり健康診断で眼鏡が必要ということになって、メガネを作ってくる。
そして学校にかけてきた。
春休みが終わったような休み明け、メガネをかけて学校に来たりした。
メガネとは縁のない子供たちにはこれがちょっとした驚きだった。
今までの様子とは違う印象になって、学校に澄ました顔で登校してきたからだ。
たちまちその子供を囲んでインタビューが始まった。レンズの度数がどうだの、どんな感じに見えるかなどをみんなが尋ねた。
そしてその輪に入学時からメガネをしていた子らが混じる。
質問攻めにされた子供もまんざらでもない顔をして、答えてくれた。
その態度が少し年長っぽく見えたものだ。
どんなメガネをしているにしても、今までと顔が変わる措置をするというのはちょっとした驚きだった。
我々は社会に長く生きているからもう人の変化などなんでもない。
しかし友達に起きた突然の変化は衝撃とさえ云ってもよかった。
子供たちはそうして、それぞれ個人に事情があるということを学んだ。
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